年間30社以上の企業に組織運営・人材育成などをアドバイスする著者が今まで日本・中国・東南アジアで実施してきたチームの構造、チーム作りのポイントをまとめた本目次第一章 チームの構造一 チームは何で出来ているのか?● 3つの材料 フラッグ(旗)・エネルギー(力)・ファンクション(装置)● フラッグ・エネルギー・ファンクションの意味二 チームはどうやって生まれるのか?● チーム誕生のステップ● 強いチームのつくり方三 まとめ第二章 リーダーシップ 魅力的なフラッグ(旗)一 魅力的なリーダーとは何か?● リーダーの魅力の正体● リーダーの魅力の具体例二 リーダーには3種類のタイプがある● コマンダー …… 自分より優秀な部下がいない● 天才 …… 離職率が高い● 殿様 …… リーダーとして最上三 リーダーに必要な力とは何か?● 4つの基礎力● 人を動かす力、伝える力● リーダーが持つべきWhat思考● 力のあるリーダーが陥る落とし穴四 魅力的な使命(経営理念)● 魅力的な使命の特徴● 魅力的な使命の意義五 まとめ第三章 教えない教育 フラッグを意識したエネルギー増強方法一 教える教育の問題点● 研修制度に感じた疑問● 教える教育の対象者● 三方を塞ぐ教育二 教えない教育● 教えない教育の概要● 教えない教育のメリット● 教えない教育の準備● 教えない教育の注意点1 教育のサービス業化● 教えない教育の注意点2 理想像の置き所● 教えない教育の注意点3 モチベーションの持たせ方三 まとめ第四章 組織文化づくり リーダーが力を発揮する結界一 ファンクションを強化する雰囲気● 本物と偽物の違い● 雰囲気・文化(企業文化)とは何か二 組織文化づくり● 新規チームづくり4つのステップ● 途中からチームに入った新しいリーダーが取るべき方法三 まとめはじめに「コンサルタントはなぜ会社のサポートができるか知っていますか?」社会に出たばかりで、営業をしていた私が、あるコンサルタントからされた質問です。当時、私は今のように、自分もコンサルタントになるとは思っていませんでした。ですから、コンサルタントは「なんだか難しい言葉ばかり使う人たちの集まり」ぐらいしか印象がありません。この質問をされた時も、「なんか大学とか大学院とかで特殊な勉強をしたからかな?」としか思いませんでした。しかし、このコンサルタントは私が想像したような事は言いませんでした。ただ「たくさんの会社を見ているから」と答えたのです。たくさんの会社を見ている。ただ、それだけ。しかし、とても説得力のある言葉でした。たとえば、私たちは生まれてから、数えきれないほどのお米を食べてきたと思います。ですから、お米を食べた瞬間に、お米の善し悪しがわかってしまいます。皆さんも、「あそこのレストランは安いけど、お米がおいしくない」や「あそこの食堂は良いお米を使ってるから、嬉しいよね」と思ったことがあるのではないでしょうか。実際に私がコンサルタントとして様々なプロジェクトをしていくうちに、「なんとなくあそこには問題がありそうだな」「この会社は売上が良くないだろうな」というのがわかるようになりました。また、企業だけでなく、政府組織や学校などもサポートする機会を頂いて来ましたが、企業と同様に人の集まり―――チームであれば、良いチームか悪いチームかがわかるようになりました。本書は、私がたくさんのチームを見てきた中で、「チームとは何なのか」、「良いチームにするにはどうすればよいのか」をまとめたものになります。この本を書く中で、対症療法的な内容は書かないように注意しました。対症療法とは、治療をする時の考え方です。たとえば、「熱が出たら、なぜ熱が出たかはわからないが、熱を下げる薬を使う」というように、原因は問わず外に出てきた問題を解決しようとする考え方です。この対症療法の対となる考え方が原因療法です。「なぜ、熱が出たのか。原因を探し出し、これを治療しよう」という考え方です。原因療法を意識して書こうと注意した理由は2つあります。1.対症療法だとチームごとに個別のパターンが多すぎで、読者の役には立たないと考えたため。2.原因療法だと、チームの仕組みを知ることで読者自身のいる環境でも最適な改善策を考えるのに役立つと考えたため。こういった基本方針のもと、第一章では、チームの構造について、第二章から第四章までは、私が実際にチームに対して改革・改善活動をする時に大切にするポイントについて書きました。ここに書かれたものが、皆さまの助けになれば望外の幸せです。